| 経営者の悩み・トラブル110番No.90 ============================================================= ビル解体による立ち退き ============================================================= ■質問内容 ピルの一室で商売をしています。そのピルが消防署の指示もあり、 老朽化の為に解体して新たに建て直す事になりました。 しかし、数年前に内装工事に1千万円を費やしたばかりで、減価償却 などを差し引いても、5OO万円<らいの価値はあると思います。 高額な内装費用をかけたの、解体されてしまうのは不本意です。 また、立ち退く為の費用や、立ち退いた為に逸してしまう営業利益や、 一時的に違う場所で商売をする為の費用は、どうなるのでしょうか? ■回答 事実関係を要約しますと、以下のようになります。 ・相談者はビルの一室を賃借している。 ・賃貸人が消防署から老朽化を理由にビル解体の行政指導を受けた。 ・相談者は賃貸人から、行政指導に従ってビル解体をすることを理 由に賃貸借契約解除の意思表示を受けた。 ・@ビル解体を理由とする賃貸借契約解除は有効か?またA解除に伴 い賃貸人に対し立退料等の補償を請求できないか? 老朽化によるビル解体を理由として賃貸借契約を解除できるか否かは、 実際に賃貸借契約の目的を達することができないほど建物が傷んでい るかに係ってきます。 建物が時の流れによって使用に耐えないほど傷み、修理に莫大な費 用がかかるとか修理が物理的に不可能という場合にはその建物は 「朽廃」と評価され、目的物が存在しないことと同視されるので、 賃貸借契約は解除を待たずに当然に終了します。 また、人為的あるいは自然の事故により建物の修理が不可能なほど 傷んだ場合は「滅失」と言い、賃貸借契約は解除を待たずに終了し ます。 これに対し、建物の破損や汚損があっても修理等により未だ使用に 耐え得る状況にある場合には「朽廃」にも「滅失」にも該当せず、 従って賃貸借契約は終了しません。 この場合は修理に要する費用・耐用年数・建物の具体的状況(危険性 等)・従前の賃貸借契約の状況(継続年数、家賃額等)など総合的に判 断して「正当事由」が認められる場合、賃貸人から契約の解除をする ことが可能です。 本件の場合、相談者が現に支障なく使用を継続しており、かつ数年前 に内装工事を施したところから推察するに「朽廃」にも「滅失」にも 該当しないものと思われます。 賃貸借契約は当然に終了したわけではないことになり、無条件に立ち 退く法的必要性はありません。 そうすると、次に問題となるのが賃貸人の契約解除の意思表示に正当 事由が備わっているかという点です。 老朽化による解体の必要性というのは、一応は一つの理由ではありま すがそれだけが絶対というわけではなく、正当事由の判断の為には、 修理に要する費用・建物の耐用年数・解体後の土地及び建て直し後の 建物に関する利用計画・賃借人側の当該建物を使用すべき必要性の有 無及び強弱・賃貸人による代替建物の提供の有無・解除に伴う金銭的 補償(いわゆる立退料)の提供の有無及び額などを総合的に判断する必 要があります。 賃借人が多額の資本投下をして回収が未了であることは、解除の正当 事由を阻害する要素です。 建物が十分使用に耐え得る状況にあるならば(消防署の指示が強制力の ない行政指導であるということが前提です)、金銭的補償を当然求めら れます。 金銭的補償の額について協議がまとまらないならば最終的には裁判所 に判断を仰ぐことになります。 このケースは、弁護士に賃貸人との交渉等を委任した方がよいと思わ れます。 ============================================================= ■編集後記 劇団四季の「キャッツ」を五反田に出来たキャッツシアターで観る。 誰もが知っているメモリーの曲が印象的だった。ビジネスもだが、 スタンダードになると無敵ですね。 ============================================================= 「経営者の悩み・トラブル110番」 発行責任者:(有)エンジョイワーク http://www.enjoyworkjapan.com 問合せ先: info@enjoyworkjapan.com ============================================================= 【メールマガジン配信中止手続き】 恐れ入りますが、上記の問合せ先に「メールマガジン配信中止」と 明記し電子メールください。 ============================================================= |