経営者の悩み・トラブル110番No.56
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業務上横領について
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■質問内容

8月いっぱいで退職した者が当社に勤務していた頃、当社の社名で仕
事を受けて、会社側には何も報告せずに、儲けを全て自分のものに
していました。
退職の際に顧客リストを持ち出し、自分で興した会社で仕事を請け
負ったりしています。
当社で働いている頃は噂だけで証拠がなかったが、その後証拠が出
てきました。どのように対処したらよいでしょうか。
具体的な手続き、方法等を教えて下さい。

■回答

1.「会社に勤務中、会社名義で受注した仕事を会社に報告せず儲け
を自分のものにした」とありますが、仕事の内容が不明です。

会社の商品を販売した代金ということであるならば、業務上横領で
ありれっきとした犯罪です。

当然、刑事告訴も可能であり、民事上も不法行為ということになり
損害賠償請求の対象となります。

損害賠償請求の根拠としては二つ考えられます。
一つは不正競争防止法であり、もう一つは不法行為です。

2.退職の際、顧客リストを持ち出したとありますが、顧客リストが、
不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する場合であれば、同法を
根拠に損害賠償請求が可能です。

不正競争防止法を根拠に損害賠償請求する場合には、実損を証明す
る必要が無く、損害額の推定など請求者に有利な規定を援用するこ
とができます。

営業秘密に該当するためには、
A.「秘密として管理されていること」(秘密管理性)
B.「事業活動に有用な技術又は営業上の情報であること」(有用性)
C.Γ公然と知られていないこと」(非公知性)
の3要件が必要です。

本件の場合、BとCはクリアするのではないかと思いますが、Aの秘
密管理性が問題です。

例えば、顧客リストにアクセスできるのは、一定の役職にある者に
限られていたとか、社外秘として厳重に管理されていたとなれば秘
密管理性は認められますが、そうでなければ秘密管理性は認められ
ないことになります。

3.次に、不正競争防止法上の「営業秘密」には該当しなくても、競
業行為が自由競争社会における社会的相当性を逸脱すると評価され
る場合には、不法行為が成立するので、やはり損害賠償請求は可能
です。

但し、この場合には、不正競争防止法を根拠とする場合と異なり、
実損を請求者が立証する必要が生じます。

社会的相当性を逸脱するかどうかは、競業行為にまつわる諸般の事
情を総合的に考慮することになります。

顧客リストを無断で持ち出したことは、その認定要素の一つとなり
得ます。

また、会社に在籍中から競業行為の準備をしていたとか、会社の従
業員を一斉かつ大量に引き抜いたなどの事情も認定要素となります。

会社の顧客を、相手方がセールス活動している割合も問題になるで
しょう。

会社の顧客を集中的にターゲットにしているような場合は違法性は
強まります。

在職中に受注した会社の仕事を会社に引き継がずに自分でやってい
るのも認定要素になりうるでしょう。

4.まず、会社の顧客の内で、相手方が、「横取り」した顧客がどの
程度あるのかを調べる必要があります。

顧客リスト損害賠償請求訴訟を提起するか、また、不法行為に基づく
損害賠償請求を提起するかどうかをなず決めることになります。

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■編集後記

ロード・オブ・ザ・リングを観る。平日なのに満員で、吹き替え版
しか席をとれなかった。
アカデミー賞11部門を受賞するだけあり、画面の迫力は凄い。
しかし、見慣れてインパクトが弱くなったせいか、1、2部に比べ出来
は劣る、と思う。

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「経営者の悩み・トラブル110番」
発行責任者:(有)エンジョイワーク
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