| 経営者の悩み・トラブル110番No.100 ============================================================= 相続に関する臨時株主総会の議決権 ============================================================= ■質問内容 弊社は昨年の1O月に社長を亡くし、その相続関係で退職金の算定を 臨時株主総会で決議し取締役会で承認する予定です。 臨時株主総会の招集についてですが、前社長(故A氏)の法定相続人が 5人います。 内訳は(妻、長男、前妻の子供(3人))この場合、前社長(故A氏)の持 株数(全体の7O%)は5人の法定相続分で割り株数を決定した方がよい のでしょうか? 前社長の持分を抜いた残りの株主で議決してもいいのですか? ■回答 相続人間で揉めさせたくなかったので有れぱ遺言書を残すべきでした。 遺言があれば原則的にその通りに遺産が分割されます。 特定の者に株式を相続させたければそのような内容の遺言書を書いて おけばよかったのです。 本件の相談では遺言書はないものという前提でお答えします。 まず株主総会での株主としての権利行使ですが、遺産分割前の状態で は相続人間で権利行使者を決定しない限り権利行使はできません。 株主としての権利行使には原則として株主名簿の名義書換が必要であ り、株式の場合は相続分によって当然に権札が分割されるのではなく、 いわゆる「遺産(準)共有」という状態になると解されます。 相続人は単独では自己の法定相続分に応じた数の株式の名義書換を請 求することはできないからです。 そこで、このような場合には共有者間で権利行使する者を一人定め、 それを会社に届け出る必要があるわけです(商法23O条2項)。 権利行使者の指定を欠く共有株式については誰も権利を行使できず、 共有者全員が共同して行使する場合を除き、会社側から議決権行使を 認めることもできないと解されています(最高裁判決)。 臨時総会までに権利行使者の指定の届出がなければ、残りの株主で議 決するしかありません。 なお、会社から株主に対する通知等は、共有者の一人に対して為せば 足ります。 もっとも一般に権利行使者の決定は、共有物の管理行為としてその持 分価格に従いその過半数でなされます(民法252条本文)。 判例によると、共同相続により生じた株式共有の場合にも、相続分に 応じた持分の過半数で権利行使者を定め得るとしています。 (最高裁判決。但し、この判例には反対の学説も有力であることに留 意すベきです。) 従って本件の場合であれぱ、現妻が2分の1、現妻と前社長との間の子 が8分の1の持分を有していますから、合わせると持分8分の5となり過 半数の要件を充たします。 この二人が一致すれば権利行使者を指定する(例えば現妻を権利行使 者とする)ことができることになります。 なお、共有者間における権利行使者の指定は、これによって権利の帰 属が確定するものではありません。 最終的に誰が株式を相続するかは遺産分割協議で決定し、協議ができ ない場合には遺産分割の家事調停ないし審判手続で確定させる必要が あります。 ============================================================= ■編集後記 亡くなられた二子山親方は「遺言テープ」を残していたそうですが、 残念ながら、テープは遺言として認められません。 ============================================================= 「経営者の悩み・トラブル110番」 発行責任者:(有)エンジョイワーク http://www.enjoyworkjapan.com 問合せ先: info@enjoyworkjapan.com ============================================================= 【メールマガジン配信中止手続き】 恐れ入りますが、上記の問合せ先に「メールマガジン配信中止」と 明記し電子メールください。 ============================================================= |